最善は電信・網通、両社のFTTBが敷設可のオフィス
これまで中国(上海)のネットワークの現状について概況を述べてきたが、このような低速のネットワーク、ヒューマンエラーの多発、その他山積しているネットワーク環境の中でどのように自社業務(システム)を安定稼動させるか、今回は「ネットワークから見たオフィスビル選び」につい筆者の経験を踏まえて考察していきたい。
通常オフィスを選ばれる時は、立地条件や坪数、レイアウトなどを重要なポイントとして決められと思うが、上海におけるオフィスビル選びの際はどのタイプのインターネット回線が敷設できるかも是非ポイントのひとつとして検討してもらいたい。インターネットを多く活用している、また頻繁にメールのやり取りがあるなどネットワークに対する依存度が高い業務内容である場合は特に、複数のISP(インターネット接続業者)回線に対応していることが重要となる。最善の環境として望ましいのは、国内固定電話最大手の中国電信のFTTBと大手通信キャリア網通(网通)のFTTB両方が敷設可能である場所ということになる。
しかし実際に上海では、テナント管理会社や各ISPの思惑があり2つ以上の別のFTTBが敷設可能なオフィスビルは意外に少ないというのが現状だ。不動産業者やテナント管理会社に問い合わせても中国電信と網通の違いすら認識していない(または誤魔化している?)ところも見受けられる。これは聞いた話だが、オフィスの開設先がツインビルになっていて、不動産業者に「A館は敷設できますが空室がありません。でもB館には空室があって来月位には敷設可能になりますよ」と言われて契約したが結局、半年待っても敷設可能な状態にならず泣き寝入りというケース。さらにひどい場合には、FTTBのユーザーをB館の中で10社程度募れば敷設可能にする、と言う話もある。しっかりとビル名と住所を基に各ISPの営業所に確認をすることが大切だ。
◆上海市内での代表的なISPサービス
■中国電信ADSL
| 受信レート(下り) | 送信レート(上り) | 時間制(RMB) | 無制限(RMB) |
|---|---|---|---|
| 512K | 126K | 300 | 600 |
| 512K | 256K | 450 | 900 |
| 512K | 512K | 600 | 1,500 |
| 1M | 512K | 900 | 2,500 |
■中国網通 FTTB (光ファイバー)
| 利用区分 | 送受信レート | 料金/月(RMB) | 初期費用(RMB) | 固定IP |
|---|---|---|---|---|
| 共用利用 | 2M | 5,000 | 700 | 5 |
| 1M | 3,000 | 700 | 5 | |
| 768K | 1,850 | 500 | 1 | |
| 512K | 1,000 | 500 | 1 | |
| 384K | 600 | 500 | 1 | |
| 専用利用 | 10M | 55,000 | 5,000 | 29 |
| 2M | 19,000 | 3,000 | 13 | |
| 1M | 14,000 | 3,000 | 13 | |
| 768K | 11,200 | 3,000 | 5 | |
| 512K | 8,300 | 3,000 | 5 |
さて、運良くこのようなオフィスに入居出来た場合は通常業務の際、国内向けのものは中国電信FTTBを利用し、国外(日本等)向けには網通FTTBを利用することができる。仮にどちらか一方に障害が発生した場合、稼動しているFTTBに切り替えれば業務への影響を最小限に抑えることができる。コスト的には2000RMB~4000RMB/月程度の負担となるが、VPN経由によるシステムの利用やデータ転送を検討されている場合、またはシステムの安定性及びレスポンスタイムの向上を図るために必要なコストであると考えればけっして高くはないと思う。
-----------------------------------------------------------
※対中ビジネス支援情報誌 月刊「大上海圏 日企情報PRESS」(発行 大陸共同メディア株式会社)に連載された「実践・上海ブロードバンド事情」より。Web用に再編集した。

