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必要な上海(中国)ネットワークインフラの実情理解

中国電信ADSLのみでのネットワークインフラの構築は不適

インターネット環境が整っている物件が見つかればよいのだが、業務上の理由(地理的要因・コスト的要因等)からこのようなオフィスビルに入居することが難しい場合、次の選択肢としては網通のFTTBが利用可能なオフィスビルを探すことをおすすめする。この条件であれば上海市内の多くのオフィスビルが該当してくる。中国電信のFTTBの敷設が不可能である場合、必然的にADSLを使用することになるが、中国電信としては電話回線が敷設されていれば全ての場所でADSL(公衆電話網を利用したインターネット)の敷設が可能であるとしているので、このような場合では国内向けには中国電信ADSLを利用し、国外向けには網通のFTTBを利用することをおすすめする。コストとしては1600RMB~3000RMB/月程度の負担でこれらのサービスを受ける事が出来る。ちなみに上海市内ではADSLを敷設可能な通信業者は中国電信のみ。網通は上海での公衆電話網の利用を許可されていないのでADSLのサービスを行っていない。

ここで触れておきたいのが、筆者としては中国電信ADSLのみでのネットワークインフラの構築はお勧めできない(大切なデータのやり取りは絶対にやめるべき)。なぜならこの3年間、筆者は毎日上海のネットワーク状況の監視をしてきたが、中国電信のADSLは通信速度が日々不安定で(レスポンスタイムの増加・パケットロスト率の増加・上位ルータ故障率の増加)、ビジネス上のやり取りに使用するには適していないからだ。

◇中国で利用可能なISPサービス

ISP名 概要

ADSL


ファイバー
(FTTB)

中国電信
(チャイナ・テレコム)
1994年に郵電部傘下にあった電気通信事業の運営部門である電信総局を分離、国営企業とし、1995年に「中国郵電電信総局(中国電信)」となる。中国最大の固定通信会社。

中国網通
(チャイナネットコム)
2002、旧中国電信が南北に2分割され、旧中国電信の北部10省の事業、及び吉通通信の事業を吸収し拡大した。現在、中国電信に次ぐ第2位の固定通信会社である。

×

中国聯通
(チャイナユニコム)
1994年に設立された中国で第2の規模を誇る総合通信事業者。通信設備の建設・保有と、固定電話(市内、国内長距離、国際)、移動通信、インターネット、専用回線、その他のサービス提供の免許を有する。

×

中国鉄通
(チャイナレールコム)
2000年に中国鉄道部の傘下会社、鉄道通信信息有限責任公司として設立。その後、2004年鉄道部から切り離され、国資委の管轄となり、正式に「中国鉄通集団有限公司」に改称。中国全土を網羅する鉄道網を生かした事業ネットワークが強み。

×

○ 上海市内で一般的に利用可能
△ 提供地域は限定されるがオフィスビル群等の商用地域は利用可能
× サービス提供無し、または非常に限られた地域のみ利用可能

またビルの構造上の欠陥?(専門外なので詳しくはわからないが)と思われるディジタル回線との干渉もあり、例えば2本のADSLを新設した場合、1本は日本間での応答速度が120~200ms(ミリセコンド、1/1000秒)、もう一方は800ms~1200msというケースもある。同様の契約、同一の上位ルータを使用してこのような結果となるので回線干渉の可能性が非常に高いと考えられる。この場合、ビル側に配管の検査を申し入れても、ほとんど実施されることがないというのが実状だ。

では1本のADSLでこのような状態が発生した場合、どのように対応したら良いのだろうか?答えは簡単。もう1本新設して状態が良いかどうか確認し、良ければ前の1本を解約する。悪ければもう1回…冗談のような話だが、これがネット環境がよくないオフィスビルに入居した場合の最良(?)の方法だ。実際問題、かなりのコストと精神的負担を強いられることになる(その間、メール・Web等の最低限のサービスも停止するし、何時くるか解らない工事業者を待っているのも苦痛だ)。このような状態にならないためにも、ネットワーク環境の充実したオフィスビルを探すことは大変重要となる。

では「網通のFTTBが敷設できればそれで良いのでは」と思われる方も多いと思う。ほとんどのケースはこれで問題はない。ただし、ここは信じられないようなことが日々おきる中国(上海)だ。虹橋地区に、「国際貿易中心」とういう日系企業の入居率90%以上の有名なオフィスビルがある。ここに導入された網通のFTTBは筆者が知る限りではかなりの問題が発生している。メールが届かない、スピードがADSLより遅い、よく切れる等々。このビルの場合は例外的(例外はけっこう多いのだが)に、中国電信FTTBを主体とした構成がベストなネットワークインフラだと考えている。

このように各ビルやエリアごとに特性(勢力分布?)があり、一概にどのISPがベストチョイスであるかを述べることはできない。導入前の1つの方法として、地元のシステム保守業者に相談をすることも検討すべきだろう。その際に目的をしっかり話すことが重要だ。メール・インターネット等が日常業務で差しさわりのない程度稼動すればよいのか?将来的にはデータ転送等のシステム利用を行うのか?目的がはっきりすることによりシステム保守業者の提案もより具体性を増すと思われる。

いまのところ日本のようにオールマイティなネットワークインフラ(安い・速い・安定している)は上海(中国)には存在しない。日本のように選択肢が豊富で、どのISPを選んでも一定のサービスが受けられる環境とは全くことなる。「概観が綺麗だからたぶん大丈夫」「新築なので当然、出来るはず」「駅が近いし便利だから」等々…各業種において皆さんはプロとしての目をもたれ、上海のマーケットを分析し公司や事務所の開設に至るのだと思う。しかしながらネットワーク、特に中国におけるネットワークの状況はマニュアル本等で理解することはできない(マニュアル本等が悪いのではなく、マニュアル本には正しいことしか書いてない)。これから新設される公司・事務所をネットワークの僻地にしないためにも、是非、ネットワーク環境をしっかりと見据えたよいオフィスビルをお探しいただければと思う。


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※対中ビジネス支援情報誌 月刊「大上海圏 日企情報PRESS」(発行 大陸共同メディア株式会社)に連載された「実践・上海ブロードバンド事情」より。Web用に再編集した。


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