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インターネット回線導入最前線レポート

重要なオフィス選び

入居ビルにより利用可能な回線が限定された実例 
     
今回は、入居ビルの事情で希望するインターネット回線が導入できなかったケースを、これまでの実例を交えて紹介したいと思います。

これは上海の中心地区に日系企業が何十社と入っている、ある綺麗なビルについてのケースなのですが、そこは中国鉄通がビルごと独占契約していて、中国網通の回線が利用できないといった状況になっています。このビルで提供されているサービスは、金額がほぼ同じとなる網通の同等プランと比較して、明らかにスピードが不安定で、メールの遅延、さらには通常のインターネット閲覧にも支障がでるなどの障害が多発しています。それでもこのビルの入居者はISPを切り替えることができないため、現在も引き続き中国鉄通の回線を利用しています。

半年前にこのビルに転居したという担当者に聞いたところによると、「インターネットはそんなに利用しないのでライトプランで契約している。以前のオフィスと比べるとWeb閲覧などでストレスが溜まるし、少ないとはいえメールの遅延はやはり問題がある」とのこと。今のところ転居するわけにもいかないので、同ビル内の数社による直談判を考えていると話されていました。

「最低限のインターネット回線さえあればOK」という場合でも、料金が同じであれば回線状況は良いのに越したことはありません。しかしながら、このように不安定なインターネット回線「しか」提供できないビルもあるので、中国(上海)でオフィスビルを選ぶ際、条件の一つとして、どのISP業者のどういったインターネット回線が利用できるかを事前に確認することをお勧めします。

一方、「海外とのVPNやテレビ電話会議システム導入など安定性、帯域重視の固定IP付き」といったようなヘビープランをご希望される場合はさらに問題は深刻になります。

この場合、回線状態や基地局との距離によって速度に大きく影響する不安定なADSL回線ではなく、距離や外的要因による影響を受けない高速で安定した光ファイバー回線(FTTB)を敷設することをお勧めします。しかし、もし入居ビルに光回線が通っていない場合は、通常の10倍以上もの初期費用を支払って独自に光回線を敷設することになります。さらに、毎月の回線使用料も割高となります。これはまだ幸運なほうで、場合によっては「地理的な問題」や「ビル管理会社の承認が得られない」という理由で、いくらコストをかけても敷設そのものが不可能な場所もあります。こうなった場合は転居以外に手段は無いというのが実情です。

以前、入居ビルに関連した事例で、このような例がありました。

ある企業から、新規に入居するビルで光回線を導入したいとの依頼を受けた時の出来事です。当該ビルで光回線の敷設が可能かどうかをISP側に問い合わせたところ、「導入は可能」という回答がきたので、必要書類を一式揃えて申請を行い、工事の段取りをすべて整えていました。しかし、開設当日になって、突然ISP側から「設置は出来ない」との連絡が・・・。理由を聞いたところ、「このビルはA,B,C,Dと区分けがされており、A区だけは、以前からビル管理会社と弊社(ISP側)の取り決めで、このエリアに引き込んでいる光回線の帯域全てを、すでに入居している企業に占有で割り当てることになっている。そのため他の企業は、A区では光回線を利用できない」ということでした。B,C,D区であれば、複数の企業で共有して光回線サービスを利用することができるとのことでしたが、A区ではそれができず、インターネット回線の選択肢は、他のISPが提供しているADSL回線サービスしかないということが分かりました。

おそらく、ビル自体が光回線の導入可能だったので、担当者はビル固有の状況まで調べずに導入が可能と返答したものと思われます。この時はクライアントが、どうしても次の日までにインターネット回線が必要ということで、他のISP業者に無理を言って、ADSL回線を翌日開通してもらいましたが(通常は申請から10営業日かかる)、当初希望していた光回線の導入はできませんでした。

ここで「ビルの管理会社」というのがでてきましたが、中国語では「物業管理公司」、通称「物業」といいます。中国(上海)ではオフィスビルにインターネット回線を敷設するにあたり、頻繁にビルの管理会社との折衝が発生します。これについては、改めて事例などを交えて説明していきます。

他にも、これは非常に稀なケースですが、実際にあった出来事です。

ある企業から、現在利用しているADSL回線を、他のISP業者が提供している光回線に切り替えたいとの依頼を受けました。ISP側に問い合わせたところ、「敷設可能」ということで確認が取れたため、前述のケース同様、工事の段取りをすべて整えていました。開通日の当日になってもISP業者から何の連絡も無かったので、直接問い合わせてみたところ、「ビル管理会社が承認しないので工事が出来ない」とのことでした。これを受けて、ビル管理会社に確認したところ、当該ISP業者がビルの管理会社へ支払うべき費用を滞納しており、この費用を清算するまでは工事は出来ないということです。弊社経由での申請を頂いていた為、ISP業者に直ちにその費用を支払うよう依頼しましたが、いつになったら支払いがなされるのかはっきりせず、結局はビル管理会社と直接交渉し、特別に今回だけということで対応してもらいました。実際に何の費用が滞納されていたのかは分かりませんが、今もISP業者側からビルの管理業者への支払いはされていないようで、現在でもこのビルではFTTBの導入は出来ない状態となっています。

以上、これまでに実際に起こった事例を紹介しましたが、中国(上海)ではオフィスビルを選択する際、どのようなインターネット回線が導入可能かをしっかりと確認(見極め)の上、良い物件をお探しいただければと思います。


*----- プロフィール -----*

【 山崎 功貴 (やまざき こうき) 上海易易信息技術有限公司 営業経理 】

1999年留学のため北京へ。その後、貿易、旅行会社など日中間ビジネスに携わる。2006年アイブリットの現地法人(上海易易)入社。「中国人より流暢」といわれる中国語で、日々、国営ISP業者やビルの管理業者とインターネット回線敷設の折衝を行っている。

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